· 

獺祭の旭酒造、海外販売比率35%を90%まで引き上げるという驚きの経営戦略

 日本人の男女で飲酒をしない人はかなり少ないと思います。私は体質上余りお酒に強くはありませんが、それでも同僚の中小企業診断士から声がかかるといそいそと宴席の場に座ってしまいます。厚労省から純アルコール分は20g/日以内にというお勧め情報が公開されています。痛飲して体を壊してはいけません。休肝日も設けましょう。

 と出だしから「何を言いたいの?」と思われた方もいる事でしょう。今日(9/2)の日経MJに山口県岩国市の旭酒造のことが出ていました。獺祭で有名な日本酒メーカーです。私は山口市に宿泊した時、初めて獺祭を飲み、その飲みやすさに感心しました。その旭酒造は米国ニューヨークでも酒造工場を持ちDASSAI-BLUEというブランドで発売しています。

 旭酒造は20年ほど前から海外市場の開拓に勤しんできました。新聞記事によれば日本全体で日本酒の輸出額は2023年で410億円。旭酒造は61億円と15%を占めてトップです。同社売上高にしめる海外売上高の比率は35%ほどですが、これを中長期的には90%まで上げることを目指しているとのこと。35%から90%へ。驚きの販売拡大戦略です。

 海外販売比率を引き上げるには獺祭を中心に旭酒造のブランド力を高めないといけません。品質管理が徹底していないと不良品が発生します。品質不良のお酒を手にしたとき、海外のお客様は購買意欲を失っていきます。品質管理の程度を引き上げる努力を同社は徹底して行っています。

 会長や社長らが毎日、前日に絞りだした新酒を口にするのだそうです。俗にいうテイスティングですね。同社はトレーサビリティがしっかりしており、テイスティングの場には新酒のデータが各工程ごとに公開されています。?!という味があればデータと照合し不良となった原因を追究しています。

 旭酒造の成功物語は書籍になって公開されています。しかし成功体験に奢れることなく、経営TOPが毎朝品質管理のチェックをしているところに、海外市場を主戦場とした選択した日本酒メーカーの凄さを知ることになりました。