即席・カップ麺大手の日清食品が公正取引委員会から警告を受けました。本社主導で店頭販売価格を拘束した疑いがあるようです。昨日の夕刻、自家用車に乗って自宅に帰っている時にNHKニュースで報じていました。今朝の日刊紙でも記事が掲載されていました。
公正取引委員会の最終ゴールは消費者の保護にあります。不正な行為によってエンドユーザーである消費者が不当に高い価格で商品を購入する等、消費者の不利益に係る行為の禁止を公取委は勧告等の手段をもって企業に訴えているのです。
今回の日清食品はどのような行為をしたというのでしょうか。コロナ感染拡大以降、企業物価のみならず消費者物価も食品を中心に上昇気配を強めています。日清食品もカップヌードル等の製品を値上げしました。しかし安値を求める消費者の意向は強くスーパー等の店頭では日清食品が値上げしても即値上げとはいかなかったようです。競合する小売店が多数あるのですから、自店のみ値上げすると他社・店にお客様が流れる可能性があったからです。
日清食品が値上げしても店頭価格が上がらないと卸業者の売上・利益も上がらないという商取引の問題もありそうです。メーカーの販売価格500円の製品を50円値上げして550円にしたとします。店頭での販売価格は1000円のままとします。卸業者の売上高は店頭価格の7割と仮定すると、原価500円の時の卸業者の売上高は700円(1000円×70%)です。
メーカーの販売価格は卸業者にとって原価となります。販売価格500円の時の卸業者の利益は200円です(700円-500円)。メーカー価格が550円となりかつ店頭価格が1000円のままだと、卸業者の利益は50円減って150円となります(700円-550円)。日清食品の思惑はどこにあったのでしょうか。流通機構全体を支配したいのか、または卸業者の救済にあったのか。真意は不明ですが、日清食品が店頭価格を自社の狙い通りに引上げさせていくという行為は最終的に消費者の不利益となってしまいます。
公取委は課徴金納付命令や再発防止を求める排除措置命令ではなく、警告というスタイルを今回は取りました。悪質性が低いと考えたのでしょうか。〇〇命令を発出は最悪の場合、訴訟になることもあり公取委では慎重な審査が必要らしいのです。警告を発することで日清食品の行為が改めれば結果は良しということなのでしょう。
会社が経済活動を行うにあたって、グレーゾーンが沢山出てきます。完全にホワイトな会社は皆無でしょう。しかしその業界でトップの地位にある会社は公取委等の行政庁のみならず、消費者団体等多数の目が自社に注がれていることに関心を持つ必要があると思います。