中央最低賃金審議会の小委員会が開かれ、最低賃金の全国平均を時給1,054円に引き上げる目安をまとめました。現在の平均額から50円(5%)の引き上げで、過去最大の上げ幅となります。昨年も話題となりましたが、時給で働くパートの方は時給が上がることで年収が上がり「年収の壁」に突き当たることとなります。103万円、106万円、130万円の壁とありますが、私の身近でも130万円の壁を気にしているパートの方はとても多いです。130万円の壁とは社会保険の扶養に関する壁です。130万円以上の年収となることで扶養から外れ、自身で国民年金・国保に加入することになります。すると、手取りは以前より減ってしまう。それは困るので130万円未満になるよう働き控えをする。といった事態が起こります。この対応策として、昨年「年収の壁支援強化パッケージ」というものを政府が打ち出しました。これはパート・アルバイトで働く方が、繁忙期に労働時間を延ばす等により収入が一時的に上がったとしても、事業主がその証明をすれば引き続き被扶養者認定が可能となるものです。ただ、これは一時的に上がってしまったことに対しての処置で、被扶養者が勤務している事業所において、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合(基本給があがった、恒常的な手当が新設された、労働契約の変更により所定労働時間・出勤日数が増加した場合等)は、一時的な収入変動とは判断しません。(厚労省のQ&Aより)とすると、最低賃金引き上げにより基本給が上がり、従来通りの働き方をしていても130万円以上となってしまう方は国保加入または、勤務を30時間以上になるよう労働条件を変更して社会保険に加入するといったことが必要になります。これまで130万円ギリギリにおさまるように働いていた方には余り意味のないパッケージとなっているようにみえます。この様々な「壁」をどう変えていくのか、最低賃金引き上げと共に総合的に見直していくことが急務だと考えます。