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職場における労働衛生基準

少し前に、建設業の事務をしている知人と話していて、思わず「えっ?」と声をあげてしまうことがありました。知人が昨年の夏に経験した出来事ですが、事務所の冷房をつけて仕事をしていたところ、外出先から帰ってきた社長が「何で冷房をつけているんだ。現場の人は暑い中、仕事をしているのに申し訳なくないのか。窓を開ければいいじゃないか」と言い、冷房を切ったそうです。夏真っ盛りの時期にです。それから退社時間まで暑い中仕事をし、のぼせてしまい体調を崩す人もいたというのです。事務所内に温度計はないため室内が何度位なのかは不明だったそうですが、風も通らず蒸地獄の様だったと話していました。冷房を付けられない日が何日か続き、こういったことでは仕事にならないと訴えたところ「暑くなる11時ごろになったらつけても良い」という許可が下りたので11時を待って冷房をつけるようになったとのこと。それでも、猛暑日は朝から暑くて汗を拭きながらパソコンに向かっていたので集中できなかったそうです。社長も汗だくになっていたようですが、自分が「現場の人と同じ環境で働こう」といった手前引けなかったようです。社長の「現場の人が頑張ってくれているのだから」という気持ちは良いと思うのですが、だからといって事務の人に同じ環境で働くことを強いるのは問題です。労働安全衛生法の規程に基づき定められた「事務所衛生基準規則」では、【事務所において、事業者が空気調和設備を設置している場合の、労働者が常時就業する室の気温は18度以上28度以下および相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない】としています。社員が働らきやすい環境を整えることで生産性もあがるのではないでしょうか。今年の夏も暑そうです。熱中症対策を万全にし、暑さを乗り切りましょう。