企業の倒産件数がじわりと上がってきています。今日(1/16)の日本経済新聞と大分合同新聞に関連記事が掲載されていました。日経の見出しはこうです。[小企業倒産、昨年36%増][「物価高が原因」2倍に][効率経営へ新陳代謝促す]。両紙の記事の出所は共に東京商工リーチですが、大分合同新聞の見出しは次のとおりでした。[倒産4年ぶり8千件超][昨年 物価高、人手不足響く][人件費理由 前年の8倍]。
詳細は東京商工リサーチの公表資料や両紙の記事を読んで頂くとして、本稿では2点について私見を述べてみたいと思います。一つ目は「小企業の倒産が増えている」ということ。もう一つは「効率経営への新陳代謝が時流として促されている」ということです。
最初の小企業の倒産数増加ですが、記事によれば従業員業20未満の企業の倒産が全体の95%占めています。一概には言えませんが企業規模が小さいと経営体力が脆弱で、設備・資産や人財に係る投資のハードルは高いでしょう。中小企業診断士等の外部専門家等の知恵を借りる機会も少ないと思います。その結果、売上減や客数減、販売単価減、人材確保困難等の圧力に抗することが出来にくくなります。コロナ渦での特例としてゼロゼロ融資等の金融支援がなされていました。今年からゼロゼロ融資の本格的返済が始まり、資金繰りに窮した企業が倒産に追い込まれているのです。
次の新陳代謝についてです。随分前からゾンビ企業という用語が跋扈していました。本来であれば既に事業を閉鎖しているはずの企業が、厚い公的支援等を受けて生き延びているというのです。いわば死に体の企業が市場での企業間競争に参加しているのです。倒産企業数増加の背景には、いよいよこれらゾンビ企業が退出を迫られてきたという事実が浮かび上がってきます。
私達自然人でもそうですが、日々新陳代謝を繰り返しながら生きています。企業であってもそうです。同じ企業であってもビジネスモデルは日々革新を続けなければなりません。個々の企業では生き残りは重大事であっても、地域経済や日本全体で考えると、経営革新をしない企業の存在は不経済、非効率なのです。
日本経済の未来を予想するに、私は企業の倒産増はやむを得ないと考えます。倒産でなくても事業閉鎖による企業数減少も致し方ありません。企業数は減りつつも市場規模が同じかそれ以上となれば、一企業当たりの売上高や利益は自然と増加していきます。こうして体力をつけた企業が日本を救ってくれると私は思っています。