日経MJの令和6年1月8日号に面白い記事が掲載されていました。見出しはこうです。[下積み0秒のすし屋繁盛記]。すし職人は「飯炊き3年、握り8年」と言われているようですが、なんと修行経験ゼロですし店を開業し、それが繁盛しているという話なのです。
この店主は人材派遣会社のばりばりの社長ですが、夕方からすし職人に変わり、従業員を雇用してすし店を経営しています。最初の出店地は東京有楽町にある4坪程度のお店で座席数は8席でした。この店舗は1年後に解体することが決まっていたので賃料は格安だったとか。それが1年後には小田急ホテルの一角に140席もある好立地を獲得し、新店でも大いに繁盛しているようなのです。
ずぶの素人がすし職人として開業できた要因はどこにあるのでしょうか。その理由を記事で分析していました。社長は釣りが趣味で釣れた魚を海鮮丼にして社外の人に振舞っていたとか。評判が良くですし店の開業を思い立ったという。当然ながらすし職人のスキルがないのですから、すし職人を雇えばよいはずです。確かに開業時にすし職人を1名雇用してはいますが、本人も職人として現場に立ったのです。
技術はどう習得したのでしょうか。あっと驚く手法がありました。なんとYouTubeの動画を参考にしたのです。投稿動画は多数あります。それらを観て覚えたというのです。またすし店に食べに行ってすし職人の顛末をじっくりと観察したと言います。私はこの記事を見て「時代は変わった」と思いました。
足りない技術はSNSの動画で調べれば良いのです。それが出来る人とそうでない人。これが成功するか否かの分水嶺になりつつある。[下積み0秒のすし屋繁盛記]の記事はそのことを雄弁に物語っていると感じました。