外形標準課税という言葉を聴くと少し腹立たしくなります。それはなぜか? 素直な目線で従業員数や営業拠点数、総資産、負債総額などの数字を診たとき、「大企業だな」と思う企業が法人事業税(地方税)の一部である外形標準課税から逃れている例が多いからです。
中小企業に該当すると税制や補助金等の恩恵にあずかることができます。制度融資や補助金、助成金申請等では、中小企業であるかの判断は資本金と従業員数のいずれかで一定の基準に該当しなければなりません。資本金と従業員数とが判断基準なのです。
コロナ渦で旅行業や飲食業、宿泊業等が大打撃をうけました。大幅な赤字を計上したJTBやHISが採った苦肉の策は資本金の減額です。資本金を1億円と大幅に減資したのです。資本金を1億円にした結果、外形標準課税を納税しなくても済みました。赤字であっても資本金が1億円超の企業は外形標準課税の義務が生じます。資本金が1億円になれば、この義務から逃れることができるのです。なぜ資本金を1億円としたのか理解できませんが....。
毎日新聞がCMTVを流しています。毎日新聞は高校野球春の選抜大会の主催者です。この毎日新聞、赤字が大きくなったとして資本金を1億円に減資しました。私はこの毎日新聞のCMを観るたびに不愉快な気持ちになります。だって払うべき税金を支払っていないんだから...。法制上問題なしとしても、何かすっきりしないものがあります!
地方税は地方公共団体が徴収します。徴収された地方税はインフラ整備や教育、社会福祉など多様な場面で地域住民の社会生活を支えています。全国的規模で事業活動をしている企業が、赤字でかつ資本金が1億円以下だという理由で外形標準課税を免れているのは納税の公平性から大いに疑問です。
ということで総務省はこの制度の変更を目論んでいるようです。資本金を1億円に減資して繰越損失を解消した後でも資本剰余金として純資産科目に残ることが多いようです。総務省は資本金に加えて資本準備金等純資産科目も課税判断の基準にしたいようです。
私が先に挙げた従業員数も基準にしても良さそうです。いずれにしても課税逃れの為に資本金を減資し1億円にする大企業(!)が続々と現れている現在、この制度の変更を早々にしてほしいものです。