少々ショッキングなニュースが飛び込んできました。経済規模、国富の状況を示すGDPに関し、日本がドイツに抜かれて第4位に転落したというのです。ドイツは欧州の雄でEUの経済を牽引している大国です。このドイツを日本は高度成長時代に追い抜いて、当時の世界で米国に次ぐ第2位の地位に躍り出ていました。中国に10数年前抜かれ、そして今年ドイツに抜かれました。人口規模で世界一のインドが日本の後ろに控えています。あ~あ、日本はこのまま経済成長も出来ずに、二等国へと落ちぶれるのでしょうか。悲しい~~~!
ドイツに抜かれた理由は大きく二つあります。一つはドイツの通貨ユーロが対円で強くなったということ。ユーロは少し前までは一円135円前後で取引されていましたが、今や160円に迫ろうとしています。経済規模は米ドルで評価されることが多いと思いますが、この対ドルの為替でも30年以上に遡らないといけないほどの超円安となっています。要は為替相場で円安になっていることが、世界共通通貨であるドルやユーロ換算でGDPを大きく目減りさせたということです。
ドイツに抜かれた二つ目の理由、それはインフレ率の違いです。ロシア発地政学リスクの高まりにより各国で物価が上昇しました。これに対応するため米国やEUの中央銀行は政策金利を段階的に引き上げています。一方の日本、物価上昇率は3%超となっていますが、他国と比較して穏やかな上昇率です。インフレは名目成長率を高める効果があります。日本とドイツのインフレ率の格差が、ドイツの名目DGPを押し上げた結果となっているのです。
とまでは一般論の話。ここからはドイツと日本の企業経営者と政府等国のリーダーの発想・思想の違いを論じてみたいと思います。ドイツは第2次世界大戦からの反省から移民を多く受け入れてきました。日本は移民を頑なに拒んでいます。ドイツはIT等先進的な技術革新に取り組んできました。日本はバブル後遺症を引きずり、人への投資は勿論のこと、技術革新等に係る投資がは微々たるものです。技術立国はもはや過去の話となってしまいました。
私は経済界をリードする大手企業の経営者の経営姿勢が、日本の経済が成長できない大きな阻害要因となっていると思っています。政府首脳や霞が関の官僚たちの勉強不足、将来を読む力のなさ、強硬・強引とも言える程の強いリーダーシップの欠如などが、日本の国際的な地位の低下を招いていると考えます。
憂国の士は出てこないのでしょうか。日本はこのままで良いのでしょうか。日本を救うことのできる希望の星はもう出てこないのでしょうか。こう考えていくと本当に悲しくなってしまいます。