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セブン&アイ、西武・そごうの売却決定へ

 日本最大の小売業者であるセブン&アイホールディングが、百貨店(西武・そごう)事業を米国のファンドに売却する方針を固めたようです。譲渡日は9月1日だそうで、後1週間後です。大分に住む私は東京の事情は分かりませんが、この売却決定には大きな波乱が予想されます。

 先ずは従業員の反乱。株式の売却云々は経営者同士の問題ですが、売却される企業で働く従業員にとっては死活問題にもなりかねません。買収先企業の方針により解雇(又は退職)されるとなれば、失業問題が眼前に迫ってきます。西武・そごうの労働組合は早々にスト権を獲得しています。投票率93%超でのスト権獲得ですから、正式に売却が決まった後は労働組合がいつストを行うのか大変興味深いです。絶対実施するに間違いありませんから。

 小売業でストをうつとなれば、何十年ぶりになるのでしょうか。ナショナルセンターである連合はどのような対応をするのか、これも興味深いものです。93%超の組合員がスト已む無しの決定をしたのですから、当事者である労働組合は強行な態度を示さざるを得ません。となれば連合が傍観者でおられるのか、売却反対の大キャンペーンを打つのか。連合も悩みどころでしょう。

 もう一つは地元の商業者の対応です。買収後も百貨店の看板を掲げながら、安売りがウリの大型家電販売店が下層階でど~と営業しているとなれば、競合商品を取り扱っている地元商店が大小の影響を受けることでしょう。強行な反対な声を上げてきそうです。

 最後はお客様の視線です。高額所得者で、また外商で上得意先であった固定客はどう思うのでしょうか。西武・そごうというブランドで商品を買っていた人も多いのではないでしょうか。百貨店でなくなるなら他の百貨店へ移るという人達もいることでしょう。競合百貨店の狩場になりそうです。

 その外、店舗に入って営業していたテナント(とそこで働く従業員)、西武・そごうに納入していた取引先、融資していた金融機関等々、利害関係者は多数です。セブン&アイは事前説明会等を重ねてきたのでしょうが、信頼をもって受け止められているかは不明です。

 いずれにしてもセブン&アイは売却を決定したのです。セブン&アイのブランド価値を上げるどころか、棄損する可能性もあります。9月以降の動きに大いに注目です。