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大分県の最低賃金45円引上げで899円となることの影響

 今年10月に施行される最低賃金額がほぼ決定しました。ほぼ決定というのは理由があります。大分県最低賃金審議会での結論は決まって大分労働局長へ答申したものの、大分労働局長が最終的な決定権を持つということです。大分労働局長が答申内容と別の決定をするということは考えられませんので、答申内容で決定したと言ってよいでしょう。

 今年の引き上げ額は45円でした。中央最低賃金審議会が出していた引き上げ額の目安は39円でしたので、これを6円上回ったことになります。9月30日までの最低賃金は時給で854円でしたので、10月からは899円が新しい最低賃金となります。鳥取だったか島根だったかは忘れましたが、46円引き上げて900円としています。

 最低賃金審議会は使用者側委員と労働者側委員、そして公益委員の3者が対等な立場で意見交換をし引き上げ額等を決定します。899円で終わるか、または900円の大台に乗せるかの攻防があったに違いありません。労働者側委員はもっと高い引き上げ額を要求したでしょうし、使用者側委員は必至の抵抗をしたかもしれません。

 GDPの6割は個人消費で占められています。昨今の物価上昇で十数か月も実質賃金が目減りしています。目減りする賃金では消費活動を活発にしようという機運が盛り上がりません。ここは経営者も痛みを分かち合って賃金引上げを行ってほしいものです。腰が引けたままでの対応では優秀人材は集まってきません。それ以外にも人的資源が社外流出する可能性すら高まります。

 最低賃金引上げを絶好の機会と捉えて、賃金等の処遇改善に取り組んで下さい。経営者の決断を優秀な社員達はしっかりとみてくれます。会社を成長させるか否かは経営者の英断にあるのです。