· 

役所が独身証明書という公的証明書を発行している?

 ちょっとびっくりした事件(笑)を報告します。ある依頼者から相続案件を受託するかもしれないと、その依頼者向けのレポートを作成していました。被相続人は既に亡くなって久しいのですが、来年4月から「不動産に係る相続登記は3年以内にしなければならない」という法律が施行される為に、放置できないとして事務所に相談に見えられたのです。

 私は相続手続きについて口頭で説明をし、「どのようなことをしなければならないのかをレポートします」と伝えました。そこで2日間かけて説明資料を作ったのです。相続処理はそんなに難しくはないのですが、相続したという事実を戸籍謄本等で証明していきます。その際に役所に支払う手数料をネットで調べてみました。

 確かにその市役所のネットでは戸籍謄本は450円、除籍謄本は750円と具体的に書かれていました。「うんうん、昔と変わっていないな~」と確認しながら頁をめくっていったところ、思わぬ文字が目に飛び込んできました。それは「独身証明書」というものです。平成5年11月に行政書士を開業して以来、色んな書類を作成し、また官公署等から公的証明書類を入手してきました。しかし「独身証明書」という存在は全く知りませんでした。

 「変な証明を役所がするんだ」と事務所の職員にも話しました。役所がこの独身証明書を発行する理由は確かにありました。民法732条に「重婚禁止」が規定されています。一夫一妻制が原則の日本。婚姻関係を結んでいる配偶者以外に「結婚してはならない」のです。役所は戸籍を管理しています。婚姻という事実は身分事項欄に記載されています。

 「独身証明書を発行してください」と請求があれば、戸籍の記載事項を確認して、「請求者本人が独身であること」を役所が証明できるのです。この範囲のことしか証明できません。さてこの独身証明書はどのような使われ方をするのでしょうか。このような疑問が湧いてきました。

 50歳までに一回も婚姻歴がない男性は約30%、同様に女性は20%近くも存在するようです。結婚しない(できない)理由は人それぞれでしょう。そこで結婚相談所やマッチングアプリ業者等々の関係者が事業として結婚産業を活発化させています。これらの市場に既婚者が「私、独身です」といって参入してしまうと大混乱になります。ネットを主体とするマッチングでは相手の主張の正当性を担保する必要があるのでしょう。そこで独身証明書の出番が回ってくるのではないでしょうか。

 いや~、人生67年も生きてきましたが、まだまだ知らないことって沢山あるのですね~。今回の独身証明書の話、コンサルティングしている時にアイスブレイクのネタとして持っておくつもりです。