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ワークマンに女性のユーチューバーの社外取締役が誕生へ

 5月16日付け朝刊の日本経済新聞に企業統治に関する興味深い記事が掲載されていました。[社外取の資質巡り議論に]という見出し記事です。さらに[ワークマンがユーチューバー起用][商品開発に知見/経営経験なく]という見出しも踊っています。

 ワークマンは作業着販売の最大手です。最近はワークマンプ+や#ワークマン女子などの店名で作業着以外のシーンで着用できる服や靴、肌着等々も販売しています。こういう私もワークマン+で買い物を楽しんでいます。このワークマン、東証スタンダード市場に上場している会社です。スタンダード市場でも上場企業は社外取締役を2名以上選任する必要があるようです。ワークマンはこれまで社外取締役を選任してきませんでした。

 それが今回、7名の取締役のうち3名を社外取締役にする決定をしました。社外取締役の3名は弁護士、公認会計士、そしてユーチューバーです。ユーチューバーは女性というところも注目です。実は取締役の責任は案外も重たいのです。社長や専務等、会社の日常業務を執務する経営者の監督責任があります。取締役等に係る監督責任を全うするには、それなりの知識と経験値が必要となるでしょう。単に株主の代表として取締役に就任するというのではないのです。取締役を名誉職だと思ってはいけません。

 社長などの業務執行者が会社に不利益を与えることがないよう、社外取締役であっても取締役会にて監視役をしっかりと果たさないといけません。不正行為や利益相反行為等を知っていたにも関わらず見過ごしたとなければ、取締役は監督責任を問われます。場合によっては会社に対して損害賠償責任を負う事にもなりかねません。

 新たに選任されるユーチューバーは会社(事業)を経営した経験はないようです。経営者というのはあらゆることに気配り、目配りしなければなりません。人材戦略、商品戦略、財務戦略、営業戦略、コンプライアンス対策等々、経営者がその領域・分野に専任・精通していなくても、会社に関わる全ての領域・分野に対して無過失的な責任を負うことになります。このような経営者の働きぶりを管理監督するというのですから、社外取締役には経営に関する知識や経験が必要ではないかという議論もなるほどと合点がいきます。

 今回のワークマンの決断。どのような結果となるのか、1年後いや数年後が楽しみです。社外取締役に選任されるユーチューバーがその責任の重さに押しつぶされない様に注視していきたいものです。