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プライム市場の16%PBR1倍割れの対策が自社株買いでは成長は期待できない

 2月3日のプログに東証プライム市場に上場している企業の16%でPBRが1倍を下回っていると記載しました。PBRが1倍を下回るとは、一株に関し事業によって得られる収益よりも純資産額の方が多いということです。この論理から事業を閉鎖して残余資産を配当に回した方が株主にとって得になるという不思議な事実に辿り付きます。よって私は、2月3日の投稿で経営者に積極的な投資を呼びかけたのです。投資をすれば、会社の収益性は高まりますし、またマクロ経済的にもGDPが増加するという副次効果が得られるからです。

 ところが日本経済新聞に掲載される毎日の記事を読み込んでいくと、「えっ、東証が考えていたのはこんなことだったの」と残念な気持ちになってしまいました。東証が考えていたのは自社株買いだったようです。自社株買いにをすれば、流通する株数が減る為に株価が上がるという算段です。上場企業全体では100兆円を超す現預金があるので、十分に自社株を市場から購入することは可能でしょう。

 しかし自社株を購入することは、自社の競争力や収益力、生産性を高めることに何の効果を発揮させることはありません。豊穣な現預金を有効活用することではありません。設備投資をしないのであれば、現在盛んに言われているリスキリング等の社員の学び直しとして使うべきです。現に日立グループは社員の学び直しに資金と時間を投入したことで窮境から脱し成長を続けています。

 生産資源は機械器具等の有形固定資産だけではありません。社員らの人的資源も生産資源です。人的資源に積極的に投資を行う企業こそが中長期的に勝者、笑者となるのです。