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パナソニック傘下の企業、セクハラで即降格を発表

 大分合同新聞2月21日付朝刊に面白い記事が掲載されていました。見出しは[セクハラ即降格][パナソニック傘下の企業が導入]とありました。ハラスメントの中でセクハラは弱い立場である被害者らの訴えが認められやすいと言えます。本件企業はそれを踏まえた対応を行おうというものです。しかし「一回でアウトというのは少し厳しいのでは?」と私は思いました。

 セクハラ、パワハラは法的にも企業側に発生防止等の義務が課せられています。ハラスメントは単なるいじめとは異なります。加害者が職務上の地位等を優越的に利用して、被害者が落ち着いて職務に精励できない環境に陥れることだと理解して良いでしょう。職務精励ができないという場面は、心理的又は精神的な要素が強いのですが、暴力等の実力行使や機械・器具の設置等物理的な障害も該当する場合がありそうです。

 当該企業にも就業規則があると思います。その就業規則にセクハラ禁止等の規定が明文化されていることが、降格等懲戒処分の前提条件となります。またセクハラはパワハラよりも被害状況等の事実確認が容易とは思いますが、それでも100%被害者(?)からの訴えが正しいとは限りません。被害者からの訴えを受けて、加害者や関係者等からの情報収集等の手順をしっかりと踏まえているかも手続き上はとても重要です。

 仮に被害者からの訴えを正当だと誤って判断しと一発アウトで降格処分をしたときは、加害者とされた社員から地位確認の訴訟と損害賠償・慰謝料請求を会社が受ける可能性すらあります。何れにしても、一発アウトは問題が多いと思います。事実確認や加害者とされた本人の弁明機会の付与等、就業規則や社会通念上相当と判断される手順に沿って処理されることが望ましいと考えます。