介護保険に係るニュースが昨夜ありました。介護制度は平成12年(2000年)に始まりました。家族等の私的介護の限界が叫ばれるなか、国民全員で介護支援を行うことをもとに公的扶助として発足しました。昨夜のTVニュースでは介護保険費用総額が13.3兆円に達したと報じていました。制度発足時より3倍強伸びたそうです。
その理由は簡単です。介護保険を受ける対象者が増え続けているからです。2025年には団塊の世代が75歳以上になります。介護を受ける割合は高齢になるほど高まることは必然ですので、費用総額は増加することはあっても減少することはないでしょう。昨夜のニュースでは2040年には現在の2倍、26兆円に達すると予想していました。
介護の担い手不足も深刻ですが、介護を賄う費用の調達をどうするのかが喫緊の課題となっています。介護費用は当事者が1割を負担し、国庫が5割、きょうかい健保等75歳未満の現役世代からの支援が4割となっています。国庫負担を増やすことは増税に繋がります。
現役世代からの支援の増額も限界に近づいているようです。15歳以上65歳未満の労働力人口が減少しているなか、健康保険料徴収額の伸びが期待できません。徴収額を増やす為には、標準報酬月額等に対する乗率を高めていくしかありません。乗率アップは会社や被保険者からの強い反発が予想されます。
このように考えていくと、要支援や要介護等のサービスを受けている受益者の負担割合を高めていくしかありません。このような議論を展開すると「弱者切り捨てだ」との反論が上がります。介護保険や医療保険等の公的制度を維持するためには、関係者全員の応分の負担が必要です。特例扱いをする対象者は可能な限り限定することが求められます。介護保険が崩壊すれば、その大波は将来に亘って日本社会を襲ってきます。嫌だから議論を避けるのではなく、嫌だからこと議論を活発化させることが必要だと思うのです。読者の皆さん方はどう思われますか???