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過ちて改むるに憚ること勿れ

 毎度の話で申し訳ございません。またまた円安の話です。今朝の日本経済新聞ではECBが政策金利を0.75%引き上げることを決定したとの記事がありました。域内の物価上昇率が10%に達していると言います。この10%上昇というのは、約7年で価格が2倍!になるというすさまじいものです。一方で米国の市場関係者の間ではFRBの引上げ対応が弱含みになったとして、株価の上昇に多少のはずみがついたとの観測気球が打ち上げられています。

 さて肝心の日本です。円が150円台に突入したことで数回の覆面介入を財務省が行ったようです。前文後段のFRBへの期待値の表れからか、円も145円前後で落ち着き(?)を見せています。しかし財務省や日本銀行のいうとおり、国際金融では憶測や短期的な利益確保を目的に大量のお金が動きます。投機筋が為替相場を動かしていることは事実でしょう。関係者の想定で期待外れとなったときは、また円安が強まることは確実です。特に為替相場等は人知ではなくAI(アルゴリズム)で動いているのが現実ですから、値動きは急拡大又は急収縮します。本当に恐ろしい世界です。金融の世界は・・・。

 10月26日の日本経済新聞に[物価基調 初の2%上昇][9月「刈り込み平均」2001年以降で最高]という見出しで記事が掲載されていました。消費者物価指数の捉え方は多種あることを私はこの記事で知りました。黒田日銀は「消費者物価指数の上昇率2%を政策目標」として金融緩和政策を進めてきました。今年になって食料品を中心に上昇率が2%超となっても、「コアCPIは2%未満である」とか「原価上昇による2%超であり、賃金引上げによるものではない」と説明内容をその都度変えながら金融緩和政策を継続する正当性を語っています。

 どこかの国の大臣の話に近い説明です。ある事件に追及されると「想定外です」「確かにそういう事実があったのかもしれません」「記憶が確かでないので確認します」等々、一貫した説明がありません。その大臣は更迭されてしまいました。発言には説明責任と相応の義務がついて回るのです。

 黒田日銀総裁の発言もその大臣と近似値ではないかと思うのです。ある事実が要件を満たしてもなお、「これが足りない」「これを満たしていない」と言葉尻を変えるのです。だったら「最初からそう言って下さい!」と激怒したくなります。国民を愚弄した発言ではないかと私は本心から思っています。

 「過ちて改むるに憚ること勿れ」といいます。誰でも過ちはするものです。私は星の数ほどに過ちをしてきました(笑)。岸田首相、霞が関のキャリア・財務省、日本銀行の面々らは、いつになったら過ちに気付くのでしょうか。その時は日本は沈没しており、世界各国から「そういえば、日本という国があったな~」ということにならなければよいのですが・・・。