2023年末に終了する予定のNISA。2024年からは新NISAの運用が始まる予定でしたが、これが不透明になってきました。岸田政権は現行の積立投資非課税制度3種類を一本化し、更に期間限定となっている非課税期間を恒久化してしようとしています。その狙いは何でしょうか。
岸田政権では、所得倍増ではなく資産倍増を重要政策課題として上げています。資産は現預金、不動産、有価証券等が代表的な3本柱です。日本では現預金の割合が50%超で、有価証券等の投資資産の割合が10%台です。投資割合は欧米諸国より相当程度低くなっています。有価証券等の投資資産の代表格は株式投資です。株式投資が増えれば、上場企業の短期的な業績に余り左右されずに、株価は上昇していく可能性が高まります。需要と供給の関係は株式市場でも反映されます。投資をすることは「株式を買いたい」という意思表示ですから、流通株式総数が増えなければ株価は上昇局面になると考えられるからです。
今年から高校では家庭科の中で投資について学ぶことになったようです。投資は「確実にもうかる」ということには繋がりません。金融知識が豊富であっても、投資に失敗し大損をくらうこともあるでしょう。しかし最低限の投資リテラシーを知っていれば、多大な損失を免れる可能性は高まります。
私自身としては、投資教育よりはIT教育やリベラルアーツ教育を進めて欲しいと願っています。特にリベラルアーツ教育は絶対に必要です。日本人としての教養をしっかりと身に着けて欲しいものです。歴史教育に力をいれて欲しいものです。これからの日本人が国際人として生きていくには、自国の歴史やアイデンティティを知らすして世界各国・人と対峙することはできません。
話を元に戻すと、資産倍増計画の一環としてNISAの見直しがあることに間違いありません。しかしNISAを活用できる人は「十分に現預金を持っている人」に限られます。「20~3歳代の若手でも、収入から投資できるではないか」との声が聞こえてきそうです。確かにその通りです。しかし、投資できる金額に大きな壁があります。お金持ちは大きな投資が出来る一方で、若年者の投資は1万円から数万円です。「それがNISAという制度だ」と言えばそうですが、投資額の多少はリターンの多少に大きく影響してきます。
投資額が多いほど儲かる利益の実額が大きいのです。てこの原理、リバレッジが強く働きます。NISAの変更は喜ばしいのですが、外野席から「金持ちの優遇策だ」という声が高まってきそうな気がします。さて、本稿読者の皆さん、NISAをやっていますか? また今後も増やしていきますか?