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リッター138円でガソリンを入れた! 原価構造はどうなっているの?

 8月4日に大分県のガソリン価格は全国平均よりも12円70銭も高いと嘆き節を語りました。私はこの事実を本当に目の当たりにしました。今回はその実体験録です。

 前回のブログを書いた翌日に、私用で県外へ出かけました。出かけた先は兵庫県の淡路島です。この淡路島でのガソリンが本当に安かったのです。一般道を車を走らせながら何となくガソリンスタンドに目をやると、安い価格表示が飛び込んきました。160円を切る価格がほとんどです。「しまった、さっき所で入れておくべきだった」と思うことが何度かありました。でも幸運は私の頭上に降りてきました。

 雨中の中、目を凝らしてGSを探していると、「138円30銭」という驚きの数字が!!! 後続の車には悪いのですが、思わずブレーキを踏み、反対車線にあるGSに飛び込みました。セルフスタンドでガソリンを満タンに。私がいつも入れているGSの価格が170円強ですから、30円強も安いのです。22.75ℓで満タン、支払額は3461円です(内消費税315円)。

 ここからは前回に引き続き、原価と販売価格について考えてみましょう。原価を100円、販売価格を200円とすると原価率50%(総利益率50%)です。この時、販売数量を100個とすると利益総額は10000円となります。ここで原価が高騰して150円となったとしましょう。販売価格が200円のままだと原価率75%(総利益率25%)となってしまいます。販売量が100固のままだと利益は5000円となり、試算前より半減してしまいます。試算前と同じ利益を獲得するには販売量を200個に、つまり倍にしなければなりません。

 これから分かるように薄利販売は多売競争への誘引となります。沢山売り上げて利益をそれなりに確保しようという動機が働きます。しかしこの薄利多売は幾つかの問題点があります。

 ①売価が同じであれば、原価を引き下げる努力をし続けなければならない。②この原価低減努力は客観的合理的な背景、ルールでもってしなければならない。③値下げをすれば同業他社も追随して値下げをする。それが更なる値下げへと追いやってしまう。④販売量は大幅に増えることはない。お客様が購入する数量には一定の限界値がある。⑤体力ある会社が最後に勝ち残る。体力のない会社は先に脱落していく最後には倒産の憂き目にあう。

 本稿では②について論考してみましょう。試算例の様に原価が100円から一挙に150円に上がることは滅多にありません。何故なら、原価を細分化すると「仕入(材料)」「労務費(人件費)」「外注費」「製造・加工諸経費」などに分かれるからです。仕入価格でも「主要材料」「補助材料」などに更に細分化されます。仕入先を複数持っていれば、最安値を提示しているい仕入先からの調達量を増やすことも一考です。

 また製造・加工の段階で製品のスペックを全面的に見直し、別の素材に転換して材料費を削減することも考えられます。また作業工程・工数を減らすことも考えられます。このような創意工夫を重ねることでトータルとしての総原価を抑えることが可能となります。

 試算例だと原価100から130円と抑制できたとし、かつ販売価格を200円から220円へ10%上げることに成功したとましょう、一個当りの利益額は90円と試算前より10円少なくなりますが、試算例のように50円減少から緩和されます。販売個数は111.1個(利益額10000円÷90円/個)、つまり112個(12%の販売個数増)売れれば元の利益は確保できます。

 経営は科学なのです。客観的合理的な根拠を積み上げて、しっかりと利益を確保できる経営システムを創り上げて欲しいものです。先頭に書き出して淡路島のGSは、こうした分析をした上で安値販売をしていると思います。もしこのような分析と実践をしていないとすれば、会社の資金繰りは大変な状況ではないかと思うのです。