異常気象という言葉は「聞き飽きました」と言いたいくらいに、梅雨明け後に猛暑日が続いています。この”異常”という単語を経済活動に転じて使用してみると、企業物価や消費者物価、日本を除く各国のインフレ率、中銀の政策金利引上げのスピード等々、「少しおかしいな?」と思われる動きが際立ってきました。経済活動においても異常な状態が発生していると言わざるを得ません。
今日(7/1)の日本経済新聞の一面に、[高インフレ市場急変(1~6月)]の標題で記事が掲載されていました。[上半期の騰落率・幅は記録ずくめ]と続き、商品、債権・為替、株式の各指標の年初からの動きが表で示されていました。
最初にガソリンをみてみましょう。米国では72%の上昇率で13年ぶりだそうです。自動車大国である米国でガソリンが上昇するとなれば、バイデン政権には逆風となるかもしれません。日本では政府が補助金を出して市況価格を抑えようしています。それでもなお、リッター180円台となったようで、上昇の先、頂点はまだ見えてきません。
為替相場では130円後半の値動きとなってきました。日経新聞の数値では22円の円安で40年ぶりだとか...。140円を通過して150円にも達しようかという動きです。こうなれば、海外からの観光客(インバウンド)は急速に回復する可能性はありますが、一方で物価高騰への号砲が鳴り響きそうです。賃金が上がらない状況下で物価上昇では、生活者の実体験からは生活苦が増すばかりでしょう。
日経新聞の別頁では韓国の最低賃金引上げの記事がありました。前年比で5%の1010円になったそうです。日本の全国平均の最低賃金は930円で、3年後を目指して1000円にしたい日本との賃金格差は拡大する一方です。今、中央最低賃金審議会で各都道府県審議会の目安となる最低賃金引上げの指針等の審議が行われています。韓国の最低賃金引上げの情報が審議に多少の影響を与えるかもしれません。
話を元に戻して株式市場をみてみます。世界株指数は18%安で1988年以降で最大とあります。米S&P500は20%安で52年ぶりという状況です。日経平均は23%安で30年ぶりと続きます。株式投資で生活している人達は真夏の暑さと共に寝苦しさを感じている日々かもしれません。
このように世界経済が”異常”となっている今、「異常と感じられない」人達がいることが心配の種です。日本銀行、国会、霞が関、そして経済界や労働界等々、あらゆる階層の人達が「現状を打破するために何をし、何をしないのか」と党派を超えて国益を重視して真剣に議論して戴きたいものです。そうしないと、数年後にはこの地球上から日本国と言う国がなくなってしまうのではないかと思ってしまいます。これらの推論が杞憂であって欲しいのですが...。