日本経済新聞の5月23日付朝刊に[男女格差 情報開示で是正][女性の賃金、日本は男性の78%][フランス、未達企業に対応要請]という見出し記事がありました。興味深い内容でしたので、朝の短い時間でしたがざっと目を通しました。
記事によるOECD諸国の平均で男女の性による賃金格差は88%だそうです。OECDの有力メンバーである日本のそれは78%だとこと。私は「そんなに高いかな?」と疑問に持ちました。一般的に女性は男性の2/3水準と言われているからです。78%だと約10%の底上げになります。内閣府は職種、役職、勤続年数、労働時間などの諸要因を調整してもなお、賃金格差があるとしています。
この記事では内閣府調査で男性賃金を100とした時の産業別の賃金格差が記載されていました。時間当りを基準にすると次のとおりとなります。
①金融業・保険業59.5%、②製造業65.1%、③卸・小売業66.4%、④学術・専門技術サービス業68.7%、⑤教育・学習支援事業70.4%、⑥生活関連サービス業・娯楽業73.1%、⑦宿泊業・飲食サービス業76.4%、⑧医療・福祉業76.6%、産業計74.1%。
産業によっては女性が主力となっている産業があります。このような産業では男女の賃金格差は比較的小さいようです。しかし役職や学歴、保有資格等に差異がなければ、男女の性による賃金格差があるのは好ましいとは言えません。
それぞれの会社や産業界には言い分があるでしょう。しかし能力に又成果に応じた賃金を支払おうというジョブ型雇用が声高に主張されている現在、男女の性による賃金格差の改善に動かない企業には優秀な人財は入社してきません。現在は社員としてその能力を発揮している社員も、自社と他社とを比較して「あちらの方が賃金格差が小さい」となれば転職していく可能性が高まります。
賃金格差は労働法の観点からも格差是正への圧力が高まっています。法律による圧力という外圧を受ける前に、会社内で積極的に改善を進めていきましょう。そうすることが、会社や従業員、そしてお客様まで全ての人達が幸せに感じるようになるからと思うのです。