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経済は地政学リスクに翻弄される

 「経済は地政学リスクに翻弄される」。今回の投稿テーマは少々きな臭いものになってしまいました。申し訳ございません(笑)。というのも20日に閉幕しました北京冬季五輪で日本選手団は過去のメダルを獲得しましたが、開幕に至るまでの政治ドラマが正にこの地政学、国際情勢に強く反映されたものだったからです。

 米欧主要国の外交的ボイコットから始まり、習近平氏が会った各国首脳は少々強面の人達ばっかり。インドのモディ首相は開会式に出席する予定でしたが、最終の聖火ランナーに中印紛争時の兵士だった人を中国が起用したことで、インドが反発し急遽出席を取りやめたとか。このように、近年のオリンピックは古代オリンピックの「開催中は紛争をやめよう」という精神に反するような言動や所作が余りにも多いように思います。この中国は武力で台湾侵攻を示唆しています。その時期は習近平氏の3期目の終わり、2027年だと囁かれています。仮に武力侵攻がなされたら!!!!、地域経済や国際交流はどうなるのでしょうか。皆目付きません。これから5年間、中国は日本を始め関係諸国に硬軟使い分けて圧力をかけてくるに違いありません。

 欧州に目を向けるとロシアのウクライナ侵攻もうわさの域を超えて現実味を帯びてきました。詳細は分かりませんが、ロシアがガス供給を停めた時の対応として、日本を含めた諸外国がLNGの供給に協力しています。原油価格も高騰しています。米国FBRがインフレ対策で利上げに動き、株式市況が低下すると共に悪い円安が進行しています。日本政府が採るコロナ対策も米欧、豪州、東南アジア等々の諸国と多少食い違いがあり、国際的な人的交流や経済活動に障害が出始めています。

 これらの環境異変を地政学リスクと呼ぶことには多少違和感があるかも知れませんが、大分県を本拠地とする中小零細企業であっても全く無関心ではあってはいけないと思うのです。「一寸先は闇」と言います。ちょっとした先の未来も推し量ることはできません。しかし推し量ることは止めてはいけません。会社を経営する以上、あらゆる経営環境の変化に目を凝らして見つめ、そして「こんな状況になったらどうする?!」と机上訓練を重ねることがとても重要なのです。

 机上訓練で終われば良し! もし実戦状態になったときは、事前に準備していた方が勝つ!のです。古代の兵法書である孫子にも「勝つ準備をしてから戦えば必ず勝つ」という策がうたわれています。地政学リスクがみえる形で現実味を帯び始めた今、経営者は地政学リスクの影響度について真剣に考える時期になってきたと言えるのではないでしょうか。