昨日の夕方、懇意にしている保険代理店のH社長が来られました。私が15年ほどかけてきた生命保険の解約を申し入れていたので、その手続きの為に来られたのです。事務所に入って「今日は」と挨拶をすると、H社長の手元には包装紙に包まれた少し大きめの箱がありました。「はて?、これはお菓子ではないが額縁らしきものかな?」と推察しました。
「社長、創業〇周年というやつですか?!」と私。「何故、分かったの?!」とH社長。その保険代理店は創業20周年になったという。H社長はまだ50代後半、従業員は家族を含めて約10名と損害保険代理店では県内外で最上位にランクされる実績を誇っています。出身が同郷ということもあり、車や火災など色々な保険をH社長にお願いしています。
私が60歳(還暦)に到達した時、中小企業診断士として業を始めてから20年目に当たることから、それまでのコンサルタント経験を綴った本を書き上げ自費出版しました。H社長は創業20周年を記念してある写真のコピーを特注した額縁に入れて持ってきたのです。会社経営を20年も続けてこられたということは凄いことです。H社長、おめでとうございます!!
さて、この額縁にあった写真が歴史的な写真だったのです。撮影年月日は慶應元年2月、長崎オランダ塾とメモがあります。写真を撮った人物は上野彦馬でした。上野彦馬は長崎の生まれで、日本で最初に写真館を開業した人物です。彼は坂本龍馬や高杉晋作などの英傑らの写真を沢山撮っています。
なんとその額縁には、幕末の重要人物が写っているのです。ざっとみて50名はいるでしょうか。元となる写真をコピーし、余白に人物名が書かれていました。大村益次郎、桂小五郎、大隈重信、高杉晋作、坂本龍馬、勝海舟、伊藤博文、小松帯刀、大久保利通、西郷隆盛、西郷従通、五代友厚、陸奥宗光等々。錚々たる人物の名前が書かれていました。
「呉越同舟だ」。思わずこの4文字熟語を発していました。写真に写っている人たちは、写真撮影後に時代の流れに沿って討幕派と佐幕派に分かれて対峙しました。また、明治に入ってからはそれぞの立場から、欧米列強に対抗すべく日本の近代化に多大な貢献をしました。英傑を一同に撮ったその写真(の写)を入れた額縁を、私は狭い事務所の一角に早速掲げました。
今の日本は大きな困難に直面しています。新型コロナウイルスの猛威にも晒されています。日本の政治や経済、教育など様々な分野でリーダーとなっている人たちにこの写真を見せたいと思うのです。異論、各論は多々あるでしょう。しかし、日本の国益は何か、日本人としてどうあるべきか、という基軸は全員一致であって欲しいものです。