今日(8月31日)の大分合同新聞の一面に気になる記事が掲載さていました。見出しは[県内企業380社の昨年度決算 コロナ禍でも増益57% 経費削減や資産売却、助成金でしのぐ]とあります。一面での記事ですので、ざっと記事の内容を読んでみました。
会社の経営成績は損益計算書で表れます。損益計算書のトップ科目は、いわずとも知れた[売上高]です。売上高は利益を生み出す源泉です。よって、売上高が減少すれば、利益額も減少するという法則が成立しそうです。しかし記事によれば、県内企業380社のうち、58.5%の企業では売上高が減少したとありました。この調査を行った民間調査会社は、全国についても調査を行っています。全国では約7割で売上が減少し、約5割で最終利益が増益になったとしています。
「売上が減ったのに、なぜ利益は増えたのか?」と疑問に思うかも知れません。経営者は会社を未来へ繋げて行くという命題を背負っています。その為には利益を確実に稼がなくてはなりません。売上が減少するのであれば、それ以上に経費削減に努めるか、本業以外の手段によって売上高に替わる現金を手に入れることを考えます。
新聞記事にはこの経営者の行動が正しく整理されていました。経営者がとった対策の1つは、「経費・コストの統制・削減」です。コロナ禍で以前の様に活発な営業活動ができなくなりました。意図せずして、広告宣伝費や旅費交通費、接待交際費などの販売強化関連費の削減が実現できたのです。「意図せずに」と書きましたが、「意図した」経費削減も当然にあったことと思います。社員が残業をする機会がなくなり、総額人件費も減少したようです。
対策の2つ目は、「売上に代わる現金の獲得」です。売上高は会社の本業に係る収益のことを言います。損益計算書では、売上高とは別に会社に現金流入が発生する勘定科目が記載されています。それは[営業外収益]という科目です。営業外収益はさらに、[受取利息]や[配当]、[雑収入]などの科目に細分化されています。受取利息は銀行に預けている預預金の利息のことですが、低金利の影響を受けて雀の涙程度しかないでしょう。曲者は雑収入です。
雑収入は一般的に、遊休資産を第三者に貸し付けて[地代家賃収入]を得るというのが散見されます。また、新聞記事にあつたように[雇用調整助成金]などの助成金・補助金収入が、雑収入として営業外収益に計上されます。コロナ禍ではこの補助金・助成金収入が相当額計上されたと報道されていました。
営業外収益の次に注目したいのは、[売上高や営業外収益以外の現金獲得]の有無です。[特別収益]と言われる科目があります。代表的なのは、貸借対照表にある固定資産で、遊休資産となっている資産を売却して現金を得るというものです。例えば、資産計上額が1000万円の土地があり、今後も使用することはないとすれば、「この機会に売却して現金を得よう」と経営者が考えてもおかしくあれません。売却額が5000万円だとすると、差額の4000万円が特別利益として損益計算書に記録されます。また、会社には5000万円の現金が入ってくるのです(税金は考慮せず)。
新聞記事には「(コロナの)影響が長引くほど経営の余力が奪われ厳しくなる可能性がある」と調査会社の発言が載ってました。私は一概にそうとも言えないと考えます。例えば、「経費の削減・統制努力」です。中小企業はIT化が遅れていました。世の中には、リモート会議、ウエブナー、リモートワーク、DXなどコロナ前には聞いたこともないビジネス用語が飛び交っています。IT技術を生かして労働生産性を高めようというものです。今はその絶好の機会です。無駄取りを徹底して生産性を高めるというのは正しい戦略です。その方向に邁進すれば、「経費の削減疲れ」というマイナス影響は表れることはありません。
更に[固定資産の売却]を徹底的に推し進めていくことも正解だと考えます。「将来、使う可能性があるから」と一向に使う予定のない資産を持ち続けることは、リスクが高いのです。資産を持つには資金の調達が求められます。その調達方法が金融債務であれば、金融機関を利するだけで会社には何の利益ももたらしません。資産売却を進め、得た資金でIT化などの経営効率化を進展させる。このような手立てで経営体質を筋肉質へと変貌させれば、コロナ後に大きく飛躍することができる。私はこのように考えています。