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2020年の税収、過去最高に至らないまでも58兆円超え

 「2020年度の税収が新型コロナウイルス感染症の脅威にも関わらず、コロナ前の19年度を上回る」という?な記事が日本経済新聞に掲載されていました。20年12月時点で予想していた55.1兆円より3兆円以上上振れするというのです。コロナの影響が軽微だったことが伺えます。何だか腑に落ちませんね~~~。

 この記事を目にした私は「何か変だな?」と思ってしまいました。というのは、昨年4月以降何回も緊急事態宣言やまん延防止措置が発出され、企業活動の停滞や無用の外出外出禁止が日常茶飯事のように聞かされてきたからです。「案外と企業活動はしっかりとしているのではないか?」と安直に思ってしまいます。

 ここに論理の誤りがあります。確かに日本国内では企業活動等は停滞気味で、小売、宿泊、飲食、レジャー関係等の産業界は手痛い打撃を被っています。しかし、企業活動は国内だけに留まりません。日本では国内総生産(GDP)に占める外需は15%弱と少ないのですが、米国といやそれ以上に重要な貿易相手国となった隣国中国の経済回復が急速なのです。好調な中国経済に引っ張られて外需が好調ではないかと予想されます。

 またK字回復という言葉が示すように、国内企業・産業界ではも好調組と停滞・減益組の2パターンに大別されるのです。好調組はDX対応が万全で、また巣ごもり需要に臨機応変に対応できたことにより、増収増益となっています。また数次にわたる大型補正予算によって、日本国の国家予算は160兆円規模まで拡大していますが、この恩恵を受けている企業等もあるのです。但し、予算執行が低位で推移しており、GDP貢献度は8%程度と多くないのも実態です(米国の寄与度は13%)。

 最後にこれが予想外の税収上振れの真犯人(笑)ではないかと思うのですが、消費税率が10%になった事も大きいようです。仮に10000円の支出をすると税率8%の時代は、消費税は800円徴収されました。消費税が10%となった今は、同じ800円を徴収する為に支出する金額は8000円となります。よって、消費支出が20%超減少しないのであれば、消費税は少額であっても必ず増加するのです。

 「コロナで旅行や外食をしない」と言っても、それらのお金は全て預貯金に回るのではありません。ほかの用途に変わっていくのです。一時問題となっていた、若者が夜中に公園やCVS周辺で酒飲みをしているのは、この例のとおりです。外食でみんなとワイワイガヤガヤできないので、CVSでお酒を買って、公園等に集まり痛飲したのです。

 このように消費支出がダウンしたと言っても、消費税額が減少するというまでは至らなかったのでしょう。その結果、消費税収が確実に伸び、税収の上振れを演出したのでした。

 さて、日本国は他の先進各国と比較して国の借金の割合が危険水域に近づくほどに悪化しています。1200兆円もの借金は、GDPの200%超です。内閣が発表するプライマリーバランスの達成年度は、毎年(回)当然のように先送りされています。税収がもっと増え、その一方で不要不急な支出は大胆にカットする、という国家財政再建策を不退転の決意で実行してもらいたいものです。