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ビール大手アサヒが「食べられるコップ」を発売

 最近とみに目にし聴く言葉として、ESGやSDGsという文字があります。地球の温暖化が急速に進む中、地球人である私たちも地球環境や生活スタイルに関し、第三者目線でまた傍観者としての立場を採り続けることは困難になっています。一部の環境意識の高い人たちに任せるのではなく、自分達も一歩進んで対応するべきだという意思がESGなどの言葉には求められていそうです。

 ESGは「環境」「社会」「企業統治」を表わす英単語の頭文字を綴ったものです。SDGsは2015年(平成27年)に国連が提唱した「持続的な開発目標」で、17つのGOALがあります。Sは「持続的な」の、Dは「開発、発展」の、Dは「ゴール、目標、目的」の英語表記の頭文字です。これに小文字のSが付いているので、GOALは複数あるということを表わしています。先のESGはSDGsの中に内包されるような形です。

 事業活動を行う企業が、このESGやSDGsを常に意識しなければならない時代となりました。会社トップを始め、全社員いや関連会社や下請け等の取引先までESGなどを現場で実践するよう、次代は求めてきています。という中で、6月4日付けの日経MJに面白い記事を発見しました。標題は[アサヒ、生ジョッキ缶以外にも斬新容器]とありました。副題として[「食べるコップ」エコと遊び心]とあります。

 ビール大手のアサヒが、ビール缶を開けると生ビールの様に泡が出で来る缶を発売したことをご存知でしょうか。予想外の売れ行きで販売中止に追い込まれました。缶が普通の缶ではないため、対応できる缶の生産が追い付かなかったからです。そのアサヒが「食べられるコップ」を発売したというのです。

 コップの材質はジャガイモでんぷんだそうです。味もプレーン、えびせん、チョコ、ナッツの4種あるそうですが、売れ行きトップはえびせん味だそうです。なんとなく分りますよね。家にあるコップでビールを飲めば良いのですが、コップを洗うには水(や洗剤)を使います。その結果、少しばかりかも知れませんが地球環境や生態系に影響を与えるかも知れません。そこで「使ったコップを食べてしまえば!?」という発想が生まれたようです。

 前述のとおり、ESGやSDGsはこれからの企業活動では無視できない概念となりましたが、企業がどのようなアクションを取るかは会社トップの経営判断にゆだねられています。アサヒの例の様に、消費者・生活者が「面白い」という意識を覚醒させるような取組みが必要ではないでしょうか。エコ活動に無意識に参加してもらうところが肝でしょう。「わが社はESGに積極的です」というメッセージは不毛です。不毛どころか、消費者・生活者に不快感を与えかねません。アピールしなくても、結果として「地球や環境に優しい取組みをしているんだな」と理解されるようなアクションが求められています。