巷間飛び交う色々な情報で時々「?、何か変だな」と思うものがありますよね。最近思うのが、東京オリンピックが仮に中止となった時の、損害賠償問題です。国際オリンピック委員会(IOC)のみが中止や延期の決定権を持ち、かつ仮に東京都が中止した時にはIOCが東京都に損害賠償を請求するというのです。金額は数百億円から数千億円まで幅広く論じられています。この事実を知ると「一方的ではないか」と日本国民は憤りを持つのではないでしょうか。
東京都(と大会組織委員会)がIOCと締結した契約書の内容を、一介の市民である私が知る由もありません。しかしメディアから流れる契約内容は、明治時代に日本を苦しめた不平等条約のようです。大会の中止又は延期の決定権、大会中止の時の損害賠償請求権の他に、バッハ会長ほかIOC高官の滞在費用の過半も日本側が負担するようです。高級ホテルに滞在し、美味を食し高級ワインを痛飲し、コロナ感染防止策に人手や費用をかけても、IOCが負担するのはごく僅かとのこと。「何という事でしょう!」。
東京都や大会組織委員会が負担する費用は元を辿れば私たちの税金なのです。従って、「大会の中止又は延期」が「大会実施」を支持する声よりも大きくなっている事実には納得いきます。何故なら、喫緊かつ身近の問題として、コロナ用ワクチンの接種を大至急受けたいからです。誰だってもコロナに感染したくはありませんよね。大会開催に掛ける費用をワクチン接種等に回して欲しいという願いは切実です。
ところで、IOCが何故このような不平等契約を締結することを強要するのでしょうか。商事に係る契約では、当事者が負担する義務(債務)や権利はぼぼ同等です。このような契約方式を双務契約と呼んでいます。ほぼ同一の義務と権利ですから、「一方的に押し切られた」という不満は蓄積しません。互いに納得しているからです。
しかし、オリンピック開催に限っては事情が異なるようです。開催を誘致したい都市(と国)が弱腰となっている為に、一部の契約内容が不平等であっても甘受してしまうのでしょう。IOCの上層部はオリンピック開催をネタに私腹を肥やしていると言えないでしょうか。こんなことが許されるのでしょうか。
近代オリンピックを始めたクーベルタン男爵は、肥大化し商業化が激しい今のオリンピックをどのようにみているのでしょうか。草葉の陰で永眠しているクーベルタン男爵に質問したいと思うのは私だけでしょうか。