長野県伊那市に本店がある伊那食品工業をご存知でしょうか。寒天メーカーとして国内シェアーが8割を超すガリバー企業です。その一方で、社是に[いい会社をつくりましょう。~たくましく、そしてやさしく~]を掲げ、社員のみならず同業他社にも「やさしく」対応する会社として有名です。「きょうそう」が「競争や狂騒、競走」ではなく、「協創や協奏」と捉えているところに、今日の当社の繁栄があります。
当社に関する記事が月刊誌・企業診断に掲載されていました。当社の実質的な創業者である塚越寛最高顧問へのインタビュー記事です。このインタビューの中で、塚越さんはこう話しています。「社是は理念を込めた羅針盤である」と。そして、”How To Do”よりも”How To Be”であるべきだとも語っています。
会社経営の最終目的は「継続的な繁栄」であり、未来へ自社を導いていくことにあります。同業他社や市場との闘いがその道程にはありますので、「いかに戦うべきか?」という”How To Do”に関心が強く寄せられることは間違いありません。しかし、48年連続で増収増益を果たしてきた塚越さんは、それよりも優先するものがあると言い切るのです。
それが”How To Be”です。「いかにあるべきか?」ということです。別な言葉で言えば、理念といえるでしょう。”How To Do”が実践・行動重視とすれば、”How To Be”である理念を優先しようというのです。この塚越さんの考えに賛意を表したいと思いますが、一方の実践・行動も蔑ろにすることはできません。
四輪と二輪の世界的トップメーカーであるホンダの創業者である本田宗一郎は、創業から間もない時期にこう言っていたそうです。「理念なき行動は凶器である。行動なき理念は無価値である」と。ホンダは過去二回、倒産の危機に見舞われました。この「理念なき・・・」のフレーズは、最初の倒産の危機に遭った時に本田宗一郎が全社に向けて表明したらしいのです。
理念と行動、共に大事であり、そしてバランスよく配慮しなければなりません。船が波を受けてバランスを崩しても復元するのは、左舷と右舷とのバランスが適切に保たれているからです。塚越さんのインタビュー記事を読んで、理念の大切さを再認識すると共に、行動を伴うことの大切さも改めて考え直されました。