自動車大手のホンダが自動運転への新たなステージへ乗り出しました。こう切り出すと「何のこと?」と思われるかも知れません。AI技術を活用した車の自動運転技術の開発は、自動車メーカーが先頭を走るのではなく、グーグル等IT大手が開発競争の先陣を切っています。
その結果、数年先には業界地図が大きく塗り替えられ、日本経済のけん引役であった自動車業界に勢いを失なってしまう可能性もあります。現時点では勝ち組となっている日本の自動車大手、例えばトヨタやホンダであっても、生き残れるとの保証はありません。このように、自動運転技術の開発は同業・異業・新規参入、超大手からスタートアップ企業に至るまで、熾烈な開発競争が全地球的規模で繰り広げられています。
自動運転技術は5段階に区分されるようです。レベル1は衝突防止システムなどの段階です。これはとても重宝します。よそ見等で気付かない時間帯があります。そして衝突事故を起こす。レベル1は、このような不幸な事故から回避するための支援システムと言えるのかもしれません。
最高のレベル5では、人は車の運転から完全に離れた状態で、車に搭載されたAIが移動中の周囲環境からリスク等を判断し、安全運転で目的地まで人や物を運ぶことができるそうです。その時は「人は運転免許証を必要としなくなるのでは?」と思ったりします。
さて、ホンダはレベル3の新車をリースで発売すると発表しました。レベル3は一定の段階まではAIに運転を任すことができる段階だそうです。報道によれば、時速50キロ未満であればAIが自動運転をし、時速50キロ以上となるとAIが警告を発し人が運転を行うようになるとのこと。時速50キロと言えば、一般道であればそこそこの速度です。日本では時速50キロ制限の道路が大半ではないでしょうか。従って、ほとんどの道路では、ホンダの高級車レジェレンドは自動運転で走行できるようになります。
なお報道によれば、時速30キロの渋滞時のノロノロ運転を強くイメージしているようです。一般道でも朝夕の自動車量が多いときは、時速30キロの低速走行は多々あるでしょう。その時には、このレベル3は大きく効果を発揮できそうです。なお、整備等の法的制約から発売台数は100台とあり、まだ実験段階とも言えます。そして、AIによる自動運転技術の急速な進展に、法の整備が追い付いていないことを明らかにしました。
法の整備の遅延と言えば、もし事故が起きたときの責任は「運転者がとるのか?」という疑問が残ります。報道によれば、レベル3による自動運転時の事故の選任は、「システムが負う」らしいのです。では「システムが負うってどういうこと?」と次々に疑問が湧いてきます。システムを開発した開発会社となるのでしょうか、はたまた車を売り出した販売会社となるのでしょうか。このような素朴な疑問に答える解を早く見つけ出し、法律の整備を早急に進めていかないと、自動運転の開発競争から周回遅れで日本は取り残されてしまいそうです。