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当事者になって初めて分かる介護保険

 昨日(12月9日)、我が家に大分市役所長寿福祉課から郵便物が届きました。書留で来たのですが、同封されていたものは「介護保険被保険者証」です。それも紙製です! 長い間、協会けんぽのプラ製保険証を見慣れてきたので、何か違和感を感じてしまいました。妻と「昔の国民健康保険証はこんな風だった」と会話が大いに盛り上がりました。

 今年8月に協会けんぽが運営する健康保険の任意継続被保険者になりました。健康保険では満65歳到達までは健康保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。保険率は全国一律となっています。満65歳以上になると介護保険では第1号被保険者という位置づけになり、保険料の徴収方法が変更になります。公的な健康保険制度からの引き落しはなくなり、年金等から引き落とされる特別徴収か納付書に基づく納付(普通徴収)かの何れかになります。

 ちなみに第1号被保険者と満40歳以上満65歳未満の第2号被保険者とでは、受けられる介護サービスの内容が大きく異なっています。何れにしても私の場合、要支援や要介護の状態に陥ったときは介護保険によるサービスを受けることが出来るようです。とここまでは朗報の話。以下に少々不満の残る事実をメモってみます。

 介護保険を維持するには運営資金が必要です。その資金の21%を第1号被保険者が負担するというルールです。例えば年間の介護保険に係る資金の総額を100億円と見積もると、21億円を被保険者が負担しなければなりません。仮に満65歳以上の人数を21万人とすると、1人当りの平均保険料は1万円/年となります。しかし、所得の低い層には納めるべき保険料は0円か又は低い額に抑えられるようです。そうすると所得の高い層にその分を上乗せすることになります。厚生労働省のHPを閲覧すると、6段階の所得層において最高の6番目の層の保険料は、平均値の1.5倍弱となっています。

 私は社会保険労務士なので、介護保険制度の概要についてはそれなりの知識をもっています。しかし、現実にその当事者となった今、改めてネット等で情報検索すると、「うっ、これは・・・」と少々納得感を持てない情報を再確認するはめに陥ってしまいました。「『知っていること』と『実行出来ること』とは違う」とよく言われます。今回の介護保険料の納付の件は正にその通りでした。「『ルールを知っていること』と『納得出来ること』とは違っていた」のです。

 当事者になると、介護保険制度そのものの必要性は分るものの、制度を維持する為の総資金(総費用)はなるべく少なくして欲しいと考えます。当事者サイドで物事を考えることの重要性を改めて気付かされた今回の保険証受領事件でした。