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慶應義塾大学と東京歯科大学とが統合へ

 今年の出生数は85万人を割る予想が出ています。子供を持ちたい夫婦もコロナ禍での我が子の誕生を危惧したのかも知れません。出生数は数年前までは何とか100万人台を維持していたのですが、100万人を割って97万人となった途端に90万人も一挙に割って80万人台へ突入してしまいました。話題をもう1つ、婚姻数も減っているようです。結婚をしない同棲パートナーという選択肢もありますが、婚姻数が減少するということは少子化を更に推し進めることになりかねません。

 今日の日本経済新聞の一面に、私学の雄「慶應義塾大学」が「東京歯科大学」と統合することに合意したという記事が掲載されていました。令和2年1月現在で、日本の大学数は国立86校、公立93校、私立607校の計786校あるそうです。ちなみに私の出身大学での大阪市立大学は公立校ですが、2022年4月に大阪府立大学と統合され、大阪公立大学として新たに出発します。公立大学が2校減り1校増える形です。

 ところで私立のブランドと言えば、慶應義塾大学はトップにランクされる大学です。学部は10学部あり、学生定員は6400名(1学年)となっています。これに東京歯科大学の歯学部定員140名をプラスすると、11学部6540名の総合大学へと更に飛躍します。医学部、薬学部、看護医療学部に加えて歯学部が追加されれば、医学系学部の占める割合は11学部中4学部となり、医学系の大学に進学を希望する高校生にとっては垂涎の大学となるかも知れません。

 私はこの新聞記事を見て、大学も企業と同じく生き残りをかけた戦いをしているのだと感じました。現状のブランドに甘んじ、何も対応策を講じていないと早稲田大学等の他の私立ブランド大学を目指す高校生が増えていくかも知れません。いや、将来的には受験生が確実に減少していくのですから、今!から対策を講じておかないとブランド大学でも生き残れないかも知れないのです。

 別の観点から大学の生き残り戦略を論じてみます。京都府に京都先端科学大学という名の大学が2019年4月に誕生しました。全くの新設校ではありません。経営難に陥っていた京都学園大学から、世界的な企業である日本電産を育てた名経営者・永守重信氏が経営を引き継いだのです。永守氏流の大学運営が京都先端科学大学へ続々と導入されています。京都学園大学は偏差値がFランクの大学だったそうです。FはfreeのFで誰でも入学できる大学だったということです。生まれ変わった大学の目玉は工学部です。全て英語での授業や長期間のインターン制度の導入、最新鋭の工作機械等を導入するなど、さすが永守氏と言わしめる経営戦略を打ち出しています。「生き残る」ではなく「勝ち残る」です。ライバルは京都大学だそうです。

 このように企業のみならず、学問の府である大学も激烈な競争の時代に突入し始めました。振り返って企業経営はどうでしょうか。今年の業績不振をコロナ禍などの他責にしていませんでしょうか? 自責で物事を考えていかないと、業績悪化に対する適切な対応策は打ち出せません。今一度、自社の経営状態を第三者的な冷めた目で見つめ直すことも大切だと思うのです。