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米国大統領選、混乱の日々がまだ続きそうだ

 今、米国内が大荒れです。11月3日に次期大統領を選出する選挙が挙行されました。共和党からは現職のトランプ大統領が候補者として、政権奪回を目指す民主党からは前オバマ政権で副大統領だったバイデン氏が立候補しています。

 米国大統領の選挙は独特な選出方法を選択しています。今回の大統領選は来年1月に行われる最終投票を行う選挙人を選出する選挙です。選挙人を選ぶという間接選挙です。選挙人は他の候補者に一票を投じることは考えられません。よって全米50州の総選挙人数の過半数である270名の選挙人を獲得した候補者が確実に次期大統領となるわけです。

 本稿を執筆している現在ではバイデン候補が過半数の270名獲得へかなり近づいています。トランプ大統領陣営はくさりからか、今回かなりの数に上った郵便投票に問題ありとして、郵便投票の結果を得票数に加えない様にと法廷闘争へ持ち込もうとしています。通常の選挙では総得票数の多少で当選者を決めるのですが、米国大統領選では1票でも多く票を獲得した候補者がその州に割り当てられた選挙人を総どりします。よって全米の得票総数では劣っていても、各州で獲得した選挙人の合計が相手側候補者を上回っていれば当選となるのです。過去の大統領選ではこのような逆転現象にて大統領が選出された事例も散見されます。

 問題なのは「三権分立の見本ともいえる世界で最も民主的な制度を持つであろう(?)米国」で、郵便投票した一市民の投票意思が反映されない恐れがあるということです。もしトランプ陣営の主張とおり、「郵便投票は不正があるので開票作業を中止する」という裁判所の決定があれば、投票した市民の意思はどのように反映されるのでしょうか? 性別、貧富、学歴、宗教、思想等の別を問わず、みな平等に一選挙権を持つというのが、民主主義が成立する諸条件のうちで最も重要な条件ではないでしょうか。その意味では、バイデン陣営の「全ての票を開票する」という主張の方に軍配が上がりそうです。

 何れにしても、近日中に大統領選の結果が鮮明になるということはなさそうです。日本他全世界が注目する最終結果がわかるのは早ければ12月中旬、最悪の場合は来年の1月の選挙人による最終投票日まで引きずるのではないかとメディアでは盛んに報道されています。さて、どちらの候補者が次期大統領となるのか、興味津々の日々がまだ続きそうです。