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県内のJR線の赤字額に想う

 公共交通機関と聞いて何を連想しますか? 鉄道、バス、タクシーなどでしょうか。 いずれの運営会社も業績悪化に苦しんでいます。今日(8月25日)付の大分合同新聞には、「佐伯-延岡間 赤字7.4億円~19年度JR九州7千万円悪化~」の標題で、大分を含む九州各県のJR線の営業赤字路線の実態を報道していました。

 一般の企業であれば、営業赤字が続くとなれば、販売単価の引上げなどの対策を講じて損益の改善を目論みます。しかし「公共交通機関」であるJR九州は、九州各県の県民・市民の足として国土交通省の認可が得られなければ運賃の値上げはできません。JR九州は上場企業です。しかし株主重視の観点から配当原資を確保するため運賃引き上げ等を単純に実施することは、県民・市民の懐事情を悪化させてしまいます。よって管轄行政庁の認可を得なければならないのです。

 そうはいっても、赤字路線を放置して業績悪化が進行していくのも問題です。佐伯-延岡間の前年度赤字額は674百万でした。それが19年度(令和元年)には746百万円と赤字幅が拡大してしまいました。大分県内では、久大線の日田-由布院が254百万円の赤字から98百万円の赤字へと改善しています。同様に豊肥線では宮地-豊後竹田間348百万円から289百万円、豊後竹田-三重町間206百万円から174百万円へと赤字幅が減少しています。

 赤字幅の減少対策として運賃値上げができないとすれば、「職員の数を減らす」「必要な機材の修繕保守の回数を減らす」「有人駅から無人駅への転換」等考えられる手立てをJR九州は講じていると思います。こうした赤字改善の対策はある意味では利用者満足度の低下につながる可能性もあります。随分前の国鉄時代なら政治家が出てきて「まかりならん」と一喝するかも知れません。しかしJR九州は民間企業であり、上場企業です。赤字削減への努力と利用者不便の解消という難しい課題を解いていかなくてはなりません。少子高齢化等も経済環境にマイナスの風が吹き続けています。JR九州の経営努力に今後も注目し続けていきたいと思います。