昨日(7月27日)のTVを観ていて、「これは少し違うな?」と感じたシーンがありました。それは新型コロナウイルス感染症の急増について、西村経済再生大臣が説明していた場面です。4月から5月中旬にかけて日本各地で感染者が多数発生し、重篤者も増えて保健所や感染者を受け入れていた病院が悲鳴を上げていた頃と比べてていました。西村大臣は現状では「まだ緊急事態宣言を発出するまでに至っていない」という見解を終始語っていたのです。
その根拠とする図表を示していました。第一波より第二波(と呼びたい)の現在の方が、毎日報告されている新規感染者数は確かに多いのです。毎日、過去最高という有難くない数値が公表されています。しかしその増加傾向を日ごとの棒グラフで表現し、第一波の傾きよりも第二波の傾きが緩やかであるという視点を西村大臣は強調するのです。確かに第一波はぐ~んと急増したことが分かります。また、第二波の増加の傾きは第一波より緩やかであることは理解できます。西村大臣は絶対値と相対値との捉え方の相違点をわきに置いて、国民に相対値に関心を寄せる様に意識的に誘導していると私は感じたのです。
この絶対値と相対値との相違点を理解し、どちらを重視して方針・施策を打ち出すのかが、今一番問われている政策課題ではないかと思うのです。絶対値と相対値の相違を例を挙げて説明してみます。A日の感染者が100人だったとします。10日経ったB日に300人になったとすれば、増加率は300%です(300人/100人。次にC日の感染者が150人だとします。10日経ったD日に350人となったとすれば、増加率は233%です(350人/150人)。絶対数はA日~B日、C日~D日の両期間共に200人に変わりありません。
このように複数の数字を見比べるとき、絶対値と相対値という二つの視点・複眼で分析をしないと結論が全く正反対になることがあるのです。小池都知事も「新規感染者が急増している現状でも医療現場はひっ迫していない」という主旨の発言を度々されています。確かに現状はそうかも知れません。しかし、絶対値である新規感染者がじわりと増え続け、病床が少しずつ埋まっていけば、いずれは「病床数が不足している」という悲鳴を上げるに違いありません。
政府や東京都は数字を相対値で分析しています。そのほうが経済優先という政策を取り易いからです。医療従事者は絶対値で診ています。よって、医療従事者からは「切迫していないという事実は誤りである」という発言が飛び出してくるのです。両者の意識の差が、第二波を相当な深刻な状態に日本経済を陥れないかと危惧しているのは私だけでしょうか?