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新入学時期を9月に移行することを考える

 5月13日に安倍首相が全国に発出していた緊急事態宣言のうち、39県の解除を発表しました。既にGW明けから小中高の就学を再開していた県や市町村もあったようですが、この解除宣言を受けて”新学期”が本格的に始まろうとしています。

 全国知事会では4月入学を9月入学へ変更しようという声が高まっています。経済界でも国際競争をしている大企業では賛成派が多いようです。日本でも明治時代だったか、9月入学という時期があったと記憶しています。9月入学推進派では今年(令和2年)から始めるべきだと主張する人達もいるようです。仮にこれが実現すると、私立大学では授業料の納付等が数か月遅延することになるでしょう。その結果、資金繰りに窮し、大学経営が破綻する懸念も高まります。

 ところで今、国会では公務員の定年延長が議論されています。その一環として検察官の定年延長に世論の目が厳しく注がれています。反対する野党からは「火事場泥棒」という発言まで飛び出しました。この発言には新型コロナウイルスで社会、経済、学業等々のあらゆる場面で大混乱しているこの時分に、十分な検討をせずに検察官の延長を数の論理で押し通してよいのか、という意味合いが含まれています。私はそのとおりだと思います。そこでこの論議を9月入学移行提案へと横展開してみましょう。

 何の準備をせずに、天の声として移行すると大混乱に陥ること間違いありません。先ず前述のとおり私学の経営に赤信号が灯り始めます。就職活動を始めた大学生等の就活に戸惑いが発生するでしょう。小中の義務教育課程では働く両親の休日・休暇の取り方が変わるかも知れません。小中高で盛んな体育活動、特に地方大会や全国大会の開催日等に変更が必要となるでしょう。例えば夏の風物詩となっている”(高校野球の)夏の甲子園”は開催できなくなる可能性が強いです。大学受験と重なってしまい、夏にスポーツや文化・芸術の全国大会をする余裕などなくなってしまいます。最後に法律(と政令・省令)や全地方自治体の条例(要綱)を変える必要性も出てきます。

 こんな難事業を、新型コロナウイルスの影響で2~3ヶ月まともに授業ができなかったことを理由として、9月入学移行を声高に主張することは大いに問題がありそうです。1年超の国民的議論を行うべきでしょう。そして議論の結果、9月以降の方がプラス面が多くOKとなれば、移行すれば良いのです。私はこのように思いますが、皆さん方はどのように思われますか?