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新型コロナウイルス対策に総額108兆円の経済対策

 政府が新型コロナウイルスに関連して「緊急事態宣言」を発出する決断をしました。東京都を含む7都府県が対象です。欧米諸国のように都市封鎖(ロックダウン)までの強制力はないようです。しかし緊急事態宣言の発出により、密閉・密集・密接の3密に強く関連する施設等は首相と知事の強い勧告を受けて5月6日までの間、事実上閉鎖の状態になることでしょう。

 政府はまたこの緊急事態宣言と抱き合わせで総額108兆円もの経済対策を発表しました。108兆円とはDGPの約2割にも及ぶ金額です。この金額を耳にして私は、「財源はどこから調達するのだろう?」と不思議に思いました。赤字国債の大量発行?、これもあるかも知れません。しかし内実を知るにつれて、真水の部分は案外と少ないのではないかと思うに至りました。

 既に成立した令和2年度予算の予備費からの流用、令和元年12月に閣議決定したものの未消化が過半の経済対策26兆円、中小企業向けの納税(の1年間)猶予26兆円等々、真水部分として直ぐに資金支出が発生する部分は少ないようです。真水部分としては、一世帯当たり30万円の現金支給、中小企業向けの200万円(個人事業主100万円)の計6兆円が直ぐに目につくところでしょうか。

 しかし、中小企業等向けの現金支給も基準年等と比較して50%以下の売上減少を記録した企業が対象となるようです。仮に60%の減収だとすると現金支給はないかも知れません。また、窓口が未決であり、実際に支給が開始されるのは7月以降になる可能性が高いとのこと。金額以前の問題でも、支給開始が始まるまでに資金繰りがおぼつかず、資金繰り倒産の憂き目に遭う会社がででくる可能性もあります。

 経済は生産者や消費者の心理で大きく動きます。政府の今回の発表はそれを期待しての経済対策だと思います。しかし真水部分が少なければ、政府が考えている感染収束後の「V字回復フェーズ」での消費行動の爆発は期待できそうにもありません。このように考える私は否定的思考に陥っているのでしょうか....。