在職老齢年金制度をご存知でしょうか。現在、満65歳に到達すると老齢厚生年金が支給されます。給与所得者の老齢年金は基礎年金と厚生年金の2本立てが基本です。厚生年金は勤務期間中の給与水準(報酬水準)によって個人差があります。一方の基礎年金は年金の加入期間による差はありますが、報酬による個人差はありません。
65歳からの老齢厚生年金は、会社を退職している人には満額が支給されます。在職中の方には現行制度では、月額47万円を超えると減額される仕組みです。47万円は毎月の(標準)報酬と年金を月額にした額の合計額の上限です。報酬と年金額との合計が47万円超となると、超えた額の1/2が減額されます。なお、月額標準報酬だけで47万円を超したときは、年金は全額支給停止となります。
政府はこの47万円を62万円まで引上げることを目論んでいました。しかし「高所得者に有利だ」という理由で、後日51万円まで上限額を下げることで落ち着いたようです。しかしこれが着地点ではなかったのです。ところが....。今日(R1.11.22)の日本経済新聞では「47万円に」と現行の上限額を維持するようになったと報道されていました
なんと馬鹿げたことを! 「大山鳴動して鼠一匹」とは正にこれのことでしょう。私は呆れかえってしまいました。政治家や経済界、労働界は日本の現状をどのように考えているのでしょうか? 不思議でなりません。中国のみならず、韓国、台湾、アセアン、インド等経済発展著しい諸外国が日本に急速にキャッチアップし追い越そうとしています。中国は既に日本を平成10年段階で追い抜き、今やず~と先を走っており、日本の視野には入らなくなってきました。
日本人、いや日本が元気になるカンフル剤の1つが経済成長であることは絶対に間違いありません。だとすると、優秀な労働力の確保を最優先にしなければなりません。60歳以降でも「働きたい」という優れた人財はゴマンといます。それらの能力を活かすというのが、最重要な政策意思決定だと私は思います。また、女性の活躍の場を増やすのもそうです。しかし、安倍政権はアドバルーンを上げども実行しない!、レームダック状態です。
上限額を62万に引き上げれば、「もう一丁、頑張ってみるか」という高齢者が企業の現場で一心不乱に働いてくれるに違いありません。47万円が高齢者の就労意識の大きな壁になっているのに、日本国のリーダー達は全く気が付いていない。本当に情けないことです!
「平等!、平等!」と言っている間に日本は衰退への道をひた走りです。この平等という言葉は「悪弊を引き起こす平等」です。機会を公平に与えることこそ、平等の名に値します。今回の在職老齢年金の上限額に係る騒動を憂うのは私だけでしょうか。