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在職老齢年金制度の最近の動き

 日本社会に少子高齢化が叫ばれて久しいです。数日前だったか年間出生数が90万人を割るというニュースを目にしました。100万人を割ってまだ5年程度でしょうか。急速に少子高齢化が音を立てて進んでいます。このような中、国力を維持するためには働き手の確保が重要です。高齢者にも「もうひと踏ん張りして下さい」と国、行政を上げて高齢者雇用を推進しています。

 さて、厚労省は在職老齢年金制度を変えようと模索しています。在職老齢年金制度とは、60歳を過ぎた方がそのまま会社員として仕事を続けていくにあって、毎月の給料と支給される老齢厚生年金の支給額とを調整しようとする制度です。この制度は60歳前半(65歳未満)と65歳以上の2種類ありますが、厚労省が今考えているのは65歳以上の在職老齢年金制度の改正です。なお、65歳未満の制度も変更する可能性も高いようです。

 現行制度では65歳以上の会社員は毎月の賃金と老齢厚生年金の合計額が47万円を超すと、超した額の1/2が厚生年金から減額されます。また毎月の賃金自体が47万円を超すと老齢厚生年金は全額カットされてしまいます。これでは、65歳を超えても働いて下さいと経営者が頼み込んでも、「退職します」といって辞めるか、また「年金が減額しない時間数(賃金額)までしか働きません」と言われるのが落ちです。

 ということで、国はこの調整が始まる上限額を47万円から62万円に引き上げようとしています。こうすれば、働き手の確保という命題を解決することができます。なお、副次的効果としては年金支出額が国全体で増えていきますので、将来に備えての年金財政が逼迫する恐れがあります。このような諸々の課題を考慮すると62万円が候補として上がってきたのでしょう。

 なお、60歳前半の在職老齢年金制度の改正も話題に上ってくるかも知れません。60歳前半は毎月の賃金と年金額の合計額が28万円を超すと1/2の調整が始まります。生活費がまだ欲しい60歳前半で、47万円ではなく28万円から始まるのですから、しっかりと働きたい会社員にとっては不満が鬱積していきます。さらに、勤務する会社は「60歳に到達したから」と言って、60歳到達前とほぼ同じ仕事をしているにも関わらず、賃金がカットされたりします。これが一般的な会社です。

 このように65歳以上の在職老齢年金制度が変わるのであれば、付随して60歳前半の制度も変わる可能性が大です。経営者はこのような国の制度改正への動きに常に関心を持って頂きたいものです。