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関西電力にみる他責と自責

 ”他責と自責”という言葉を聞いたことがありますか? 大半の経営者であればご存知と思います。何か問題・事件が発生し、「責任は誰にあるのか」を問う場合にこの”他責と自責”が必ず出てきます。他責とは、自分には責任がなく、他者に責任があるというもの。一方の自責は、事由はどうあれ自分に(全部又は一部に関し)責任がある(又責任を感じている)というもの。何か問題・事件が発生したとき、いずれの立場を経営トップが採るかで、①解決までの時間と費用、②立案する対応策の有効性、③社内外の利害関係者の態度、④経営トップに対する信用度等々、に大きく影響してきます。

 さて、関西電力の福井県高浜町の元助役から20名の経営幹部に対して3億2千万円の饗応をうけたというこの問題、会社側の説明会は自責ではなく他責に終始していたと言わざるを得ません。あたかも「自分達は被害者だ」と言わんばかりです。TVでは「あの会見をどう思われますか」とインタビューされた市民が「馬鹿にしている」と怒っていました。

 国税庁の調査から発覚したこの事件。会社は1年前に社内調査をしたにも係らず公開しなかったといいます。また、今年の株主総会前に監査役がこの事実を知ったらしいのですが、取締役会に報告や何らかの対処を求めたという事実はないそうです。監査役の取締役(会)牽制機能は全く稼働しなかったのです。これらの事実は企業統治(コーポレートガバナンス)や法令等遵守(コンプライアンス)の面でも関西電力は大きな問題を抱えていることを白日の下にさらけ出しました。

 関西電力の社長と会長、そして1億円以上貰った幹部社員らは潔く辞任すべきです。

 経営者は常に自責を起点に物事を考えていかなくてはなりません。自責を起点とすれば、改善に向けての対応策が見つかります。他責だと「あいつ(他社)の為にこうなった」というだけで解決!です。これでは事業の継続的な発展、成長を望むことはできません。他責に終始している関西電力、さてさて市民や利害関係者、行政の今後の対応が気になるところです。