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パワハラ防止策義務化

先月29日、職場でのパワーハラスメントの防止策に取り組むことを企業に義務付ける法律が参議院本会議で可決・成立しました。今後、厚生労働省がパワハラの定義や具体的な内容を指針として定めることになります。

職場のパワーハラスメントについて、裁判所や個別労働関係紛争処理事案に基づき、次の6類型が典型例とされています。①身体的な攻撃(暴行・傷害)②精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制)⑤過小な要求(業務上の合理性無く、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる)⑥個の侵害(私的なことに立ち入ること)

私は以前、知人から職場でのパワハラについて相談されたことがあります。知人は上記6類型のうち、①身体的な攻撃(頭を叩かれる等)②精神的な攻撃(人格否定するような発言)④過大な要求(過去に経験の無い業務を何も指導されないまま就業させられる)といったことで悩んでいました。別の上司に相談し、そういった行為をする上司へ注意をしてもらいましたが、「自分はこういう指導を受けてきた。悔しい気持ちをバネにし頑張った結果、今がある。だから自分が受けてきた指導と同じ指導をすることが間違いとは思わない」と自分にはパワハラをしている意識もなく、今後それを改善する気持ちもないということでした。知人は結局、部署異動して精神的苦痛からは開放されました。しかしその上司の意識改革はできていないまま・・・抜本的な解決には至りませんでした。

今回パワハラ防止策義務付けの法律が成立したことにより、パワハラの定義を理解し自分の指導方針を省みる人が増えること、知人のような悩みを抱える人が少なくなることを期待しています。