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消費税率にみる「差異」の付け方

 今日の日経新聞に「CVSの食品の消費税率は8%」という記事が出ていました。さらに、イートインコーナーがある店舗では、従業員がお客に店内飲食をするかを確かめて、YESの場合は10%にするとのこと。外食産業が10%の税率ということを考慮しての対策らしいのです。

 でも、これってとても難しいですよね。「店内で食べられますか?」の問に、場数を踏んできたお客は「いいえ」と答える場合が多くなるかも知れません。店内飲食を始めたお客に「2%追加で頂きます」と言えるでしょうか。店内飲食をしない場合は、店頭の駐車スペースに腰を下ろしてムシャムシャということになりそうです。来秋からのCVSの店頭はゴミだらけになりそうな予感がします。

 先日TVを観ていたら、欧州ポルトガルへ移住する人が多いとのこと。気候が良いこと、また永住権を得る要件が容易であることも一因のようです。でも、もう一つTVは映し出していました。それは食品の消費税率が6%!と安いのです。付加価値税と呼ぶらしいのですが、ポルトガルでは買うものによって23%・13%、そして6%の3種類らしいです。

 生活になくてはならない食品は6%、それに準ずるものが13%、残り23%だそうです。レストランでの外食は13%らしいのですが、日本の「10%か又は8%」ではなく、「13%か又は6%」ですから、税率の差異の大きさは生活者を納得させる大きな契機となりそうです。「13%の税率を支払ってもレストランで食事を楽しみたい」という人々もいるでしょう。ちなみに、ポルトガルでは内食、自宅で食事を摂る割合が高いという情報もあります。生活者は賢明な選択をしているのです。

 さて、最後に言いたいこと。それは、「微差にこだわり過ぎるな」です。CVS店内外の飲食で8%又は10%では、現場は混乱することは分かり切っています。一部の識者らが主張するように、「生活弱者も購入する食品は5%に下げて、他のモノは10%に」という考えも一考の価値がありそうです。微差にこだわるのが日本人の悪弊。「おもてなし」を勘違いして、「競争相手と少しでも差をつけよう」として微差をつけても、その商品・役務を購入する者は「どんな差があるの?」「この差異って本当に必要なのか?」と喜びどころか、不信感を持たれてしまう恐れがあるのです。

 企業経営者は「微差は競争上有利にならない」と認識しましょう。競争相手と差異をつけたいのであれば、「目に見えて、手によって、口で言える」明らかな差異をつけることに心がけて欲しいものです。